タイトルの通り、今回は僕が今までTOEICの勉強に使ってきた2冊の単語帳について比較しながらレビューしていきます。
2つの本とはそれぞれ「TOEIC L&R TEST 出る単特急金のセンテンス」と「世界一わかりやすいTOEICテストの英単語」という本です。
どちらも大人気で有名な単語帳ですが結構異なる特徴があるので、それぞれ項目ごとに比較しながら紹介していきます。
初めに言っておきますが、どちらも非常に優れた単語帳です!
両方とも完成度が高いので優劣を付けるレビューではありませんのでご了承ください。
ただし、どんな人におすすめか、という点は結構違っていて面白いと思ったので紹介しています。
ちなみに、筆者の現時点でのTOEICスコアは620()ですので、主に英語初級者から見たレビューであることはご了承ください。
ボリューム(掲載単語数)
まずボリュームについてですが、これは圧倒的に金のセンテンスの方が多いです。
世界一わかりやすいが見出し語約800に対して、金のセンテンスは見出し語約1500。
この時点で倍くらいボリュームがありますよね。
そしてそれだけではありません。
金のセンテンスには更に派生語が大量に載っている+各章末に見出し語以外にも単語や熟語がまとめて載っているので、扱っている単語の量だけで言えば約3.5倍金のセンテンスの方が多いです。
(巻末の索引を概算してみたところ、世界一わかりやすいが870、金のセンテンスが約3100の単熟語掲載数でした)
金のセンテンスは、掲載単語数に関して物凄く頼りになる一冊です。
いきなりこんなことを紹介すると、「じゃあ金のセンテンスの方が絶対優れてるじゃん!」と思われそうですが、そんなことはありません。
実は世界一わかりやすいの方は、”意図的に” 情報量を少なくしているんです。
これは単語帳に実際に書いてあることですが、派生語や訳語が大量に載っていると、情報過多になって暗記の邪魔になるんですよ。
我々の脳はコンピューターではないので覚えられることには限度がありますから、著者の関先生はあえて本当に効果的なものだけを厳選して載せているわけですね。
まあ覚えられるならもちろん知識量は多いに越したことはありませんが、英語学習に割ける時間が限られている方や、最小限の努力で最大限の結果を残したい方には、量だけを考えると世界一わかりやすいの方が向いていると言えます。
一方、十分に英語学習に時間が取れる方、盤石な知識で試験に挑みたい方は金のセンテンスの方が合っていると言えます。
とまあボリュームの観点からすると上記のような勧め方になってしまうのですが、大事な特徴はこれだけではないので、もっと別の観点も評価していきます。
単語に対する解説の量
これが世界一わかりやすいの一番の特徴(というか関先生の著書の特徴)といえる部分ですが、1つの単語に対する解説の量が他の単語帳より頭一つ抜けている印象です。
金のセンテンスを含め、一般的な単語帳って良くも悪くも無機質な感じに単語や訳語・派生語が淡々と記載されていますよね。
一方、世界一わかりやすいでは一つの単語に対して2~4行以上の文章量で語り口調で付加知識がたくさん加えられているんです。
こんな単語帳は他にはなかなか無いですよ。
単語に対する語り口調でのコメントが多いおかげで、まるで授業でも受けているような感覚で単語の勉強ができるように工夫されています。
やたらめったら付加知識が多いのかというとそんなことはなく、語源やTOEICでの使われ方・単語のイメージなどとにかくその単語を覚えるきっかけとなる情報がちゃんと選ばれて記載されている印象です。
単語のそのものは知っているものでも、この本を読んでいると新たな発見も多いので面白いですね。
また、世界一わかりやすいで個人的に気に入っているのは、覚えるきっかけになる挿絵が豊富に用意されていることです。
全ての見出し語に挿絵があるわけではありませんが、単語のイメージに直結した情報をビジュアル的に脳に刷り込むことができるので、暗記が苦手な人でも覚えやすいようにこういうところでも工夫されています。
一方の金のセンテンスですが、実はこちらも付加知識は結構豊富なんですよ。
中でも「TOEICの世界では~」から始まるTEX加藤さんのTOEICワールドの知識は本当に豊富で、試験のためになるんですよ。
いわばTOEICの前提・常識のようなもので、これを知っていると大体TOEICの試験ではどんなシチュエーションで話が進んでいるのか内容がかなりつかみやすくなります。
英語の能力そのものに直結するかと言われると微妙ですが、試験で高得点を狙うためには非常に効果的な知識になるでしょう。
100回以上試験を受けている著者だからこそ書けるような内容です。
その他、世界一わかりやすいほどではないですが、金のセンテンスでも語源や単語のイメージといった最低限の重要な情報はしっかり解説されているので、比較すると世界一わかりやすいの3分の1くらいの単語に関するコメントは掲載されている印象です(挿絵は残念ながら無いですが)。
まあそれ以上に金のセンテンスでは派生語が多くて、そちらには解説が少なく若干もどかしくなることが多いのは確かですが。
あとぱっと見の文章量を見ると世界一わかりやすいはかなり多く見えるんですけど、実は語り口調の影響で見た目ほど濃い情報量ではなかったりします。
掲載単語の難易度
全体的に見ると、金のセンテンスの方が難しい単語が多いです。
というのも、金のセンテンスでは高校基礎レベルの単語は身に付いていることが前提で単語を厳選しているので、必然的に基礎的な部分は省かれているんですね。
TOEICスコアで言うと、500点以上は安定して取れている人が主な対象だと思った方がいいでしょう。
金のセンテンスより掲載単語の少ない、有名な姉妹書の「金のフレーズ」で勉強していた方が900点以上のスコアを獲得していたので、金のセンテンスをしっかり覚えた場合間違いなく900点以上のスコアは到達できるでしょうね(もちろん単語以外の勉強も重要ですが)。
一方の世界一わかりやすいでは、下を見ると中学や高校基礎レベルの単語も掲載されていて、上を見ると金のセンテンスにも見られるやや難しい単語も載っています。
おそらくTOEICスコアで言うと~800点くらいが目標の方にちょうどよく感じる程度で(620の僕でも簡単だと思うのも多いです)、難しいと感じる単語は全体的に少なめに掲載されている印象です。
あえておすすめするとすれば、750点以上安定して取れている人は金のセンテンス、500点未満の方は世界一わかりやすい、500~750点の方はどちらでも効果的、といった感じだと思います。
単語の使用例の掲載方法
金のセンテンスの名の通り、こちらは文章で単語を覚える形式になっています。
大学受験界隈で言うと「DUO3.0」などがあったと思いますが、あれに近い構成ですね。
1つの文章の中に、複数の見出し語が含まれていて、効率的に学習できるようになっています。
まあかなり凝縮されているので若干文章が不自然というレビューもありましたが、そこについては判断できるほど英語力が高くないので、正直よく分かりませんでした。
一方世界一わかりやすいの方は「キラーフレーズ」というフレーズで紹介されています。
こちらのフレーズはとにかくそのまま出題される形というのを意識した上で、極力フレーズを短くしたものになります(ときどき文もあります)。
なので、たまに長いのもありますけれど6,7語程度以内の短いフレーズが多いので、こちらも学習効率を意識したものになってます。
文でまとめて覚えるのか、フレーズで1つ1つ丁寧に覚えるかは人によりけりですね。
ここは完全に好みです。
ただ文章の方が長文読解への橋渡しには良いかもしれませんね。とにかくTOEICは文字量が半端じゃなく、時間との戦いなので。
つづりは簡単な多義語の勉強になる
世界一わかりやすいでは、上でも述べたように中学や高校で習うレベルの単語もちらほら見かけます…が、実はここも重要な点でして、TOEIC特有(というかビジネス用語?)のような使われ方をしているものもあるんですよ。
例えばticket(交通違反切符)、body(団体)、water(水辺)、post(貼る・提示する)など。
こういう特有の使われ方をしている単語って、なかなか学生時代は意味を習うことが少ないので大事だと思います。
もちろん金のセンテンスにもTOEIC特有の大事な単語はたくさん載っているんですけど、あまりにもつづりが簡単なものは意図的に省かれている印象でした。
つづりが簡単だけど意外な意味で使われている、という単語を勉強したいのなら世界一わかりやすいは比較的おすすめできます。
訳語や派生語が少ない(世界一わかりやすい)
ボリュームの項目でも述べましたが、世界一わかりやすいでは意図的に訳語や派生語を厳選して掲載しています。
効率的に暗記していくためには邪魔になるというのが理由ですが、ここは人によって好みが分かれそうだと思いました。
やっぱり訳語が少ないと「本当にこんな意味だけ?」と不安にもなりますし、派生語がほとんどない(少しはあります)ので勉強をした実感は薄く感じるかもしれません。
訳語や派生語は、単語の解説部分である程度補強されてはいますが、100%かと言われるとそうでもないので、単語の意味をTOEICに特化し過ぎず真っ当に学びたい・派生語までしっかり確認したい人には金のセンテンスをおすすめします。
紙質
些細なようで個人的には重要視してしまう紙質。
やっぱり質がいいとモチベーションがあがるんですよ、ついつい本に触りたくなるので勉強時間も(たぶん)増えますし笑
好みもあるとは思いますが、紙質は圧倒的に金のセンテンスの方が良いですね。
中のページはキメが細かくて触り心地がいいですし、メモも書き込みしやすいです。
表紙もしっかりしていて値段の割には高級感があり、長持ちしそうです。
一方の世界一わかりやすいの方は、いかにも安っぽい紙です笑
中のページはざらざらとわら半紙みたいで触り心地が悪いですし、表紙もつくりが安っぽいのがまるわかりです。
内容は気に入っているだけに、正直もっと紙質にもこだわってほしかった…。
後述しますが、世界一わかりやすいの方が値段も高いんですよ?不思議です。
ちなみに、装飾やレイアウトはどっちもどっちかなと思いました。
どちらもシンプルで勉強の邪魔をしない良いデザインだと思います。
まあ強いて言えば金のセンテンスの方がレイアウトは若干オシャレな気もしますけど。
居るのかどうかわかりませんが、紙質にこだわる方には絶対金のセンテンスをおすすめします笑
値段
勉強道具なのでそこまで値段にこだわって購入する人は少ないかと思いますが、金のセンテンスの方がだいぶ安いです。
金のセンテンスが税込み979円、世界一わかりやすいが税込み1650円です。
繰り返しになりますが、高いなら紙質にはこだわってほしかった…。
実は世界一わかりやすいはすでに第1刷が発行されてから約8年が経過しているので、そろそろ全面的にリニューアルしても良い時期なんじゃないかと思います(リニューアルされていないということは、それだけ元々完成度が高いとも言えますが)。
まあ関先生は以下の単語帳など新しいものに手を尽くしていたようなので、忙しいのかもしれませんが。
関先生はTOEICに関する単語帳だけでも、確認した限り3つ以上は出しているようですが、どれも対象レベルや構成に大きな差は無い印象だったので、別の単語帳を執筆するくらいなら既存のものをアップデートしていった方が個人的には嬉しいのですが…。
せっかく記載する単語数を絞っているのだから、値段もそれなりに安いと良かったんですけど、残念ながら世界一わかりやすいの方はボリュームや紙質を考えると値段的にはネガティブな印象です。
逆の見方では、金のセンテンスはボリュームたっぷりでお買い得とも言えます。
ちなみに、本の見た目だけ見ると世界一分かりやすいの方がだいぶ分厚く見えますが、紙質によってそう見えるだけで実は両者のページ数はほぼ同じなんです。
パクられたのかと思うほど解説文の共通点が多い
なんかあれなので具体例は出しませんけど、世界一わかりやすいで語源やイメージを紹介している単語って、金のセンテンスでも同じように語源やイメージを紹介している例が多い気がしました(厳密に比べたわけではないですが)。
なんか邪推してしまうんですけど、これって金のセンテンスを作るときに世界一わかりやすいの本も参照しながら作ったんじゃないかと思うくらい似ている部分が多いです。
まあ単語についての解説なんて似通ってて当然かもしれませんけど、金のセンテンスって語源やイメージにアプローチしている単語はそこまで多くないはずなのに、両方に載っている単語を見比べるとちゃんと金のセンテンスにも他よりしっかりめに解説が載っていたりするんですよね。
世界一わかりやすいの発売日は2015年、金のセンテンスの発売日は2019年なのでもしかしたらところどころ世界一わかりやすいを参考にしていたのかもしれませんね。
2019年はすでに世界一わかりやすいが人気の単語帳として定着していましたし。
まあそんなこと言ったら世界一わかりやすいより前に「金のフレーズ」は発売されていたのでどっちが参考にしたのかとか知らないですけど…。
金のセンテンスの冒頭でも、市販の単語帳もチェックして編集しているとの旨が書かれていたので、どの単語帳をつくるときもあり得る話かもしれませんけどね。
2つ合わせて取り組んだら最強?
単語のレベルや解説の丁寧さを考えると、もし2冊とも取り組みたい場合は、世界一わかりやすい→金のセンテンスと取り組むのが良いと思います。
世界一わかりやすいで重要な単語の語源やイメージをつかみ、英単語の基礎骨格が出来上がったら、金のセンテンスの圧倒的な量で肉付けしていく、というのはなかなか良いやり方のような気がします(英語初級者目線ですが)。
まあ英語学習において単語は大事ではありますが、スコアを上げるためには時間をかけるべき部分ではないと個人的に思っているので、1冊でも2冊でもいいから早めに終わらせて、長文のシャドーイングなどに時間をかけるのが良いですね。
ちなみに、2冊やるからって時間は2倍はかからないはずなので(知っている単語は読み飛ばせばいいので)、迷うくらいなら両方やっちゃうのも、単語学習に限ればありだと思います。
おまけ: なぜ神単語にしなかったのか
「世界一わかりやすいTOEICテストの英単語」と同じ関先生の著書として、最近「関正生の TOEIC L&Rテスト 神単語」という本がジャパンタイムズ出版から発売されています。
同じ先生の著書なので特徴も似通っていて、特に単語1つ1つに丁寧な解説が付いている点はどちらも素晴らしいと思います。
ではなぜ2023年発売の新しい「神単語」ではなく「世界一わかりやすい」を選んだのかというと、主な理由は「神単語」の以下のような特徴が微妙に思ったからです。
- なぜかW(2つ)にこだわって紹介されている見出し語の使用例。
- 単語のイメージをつかめる・暗記の助けになる写真やイラストが無い。
- 派生語・関連語が多い。
まあ派生語・関連語が多いことは良い面・悪い面両方あることを上記でも紹介したのでまだいいとして。
個人的に好きだった写真やイラストがなくなっている点は素直に残念ですし、なぜか2つという数にこだわって紹介されているフレーズ例も微妙です。
紹介したいフレーズが2つ以上ある場合なら適宜増やしてもらうのは全然ありですけど、なんか無理やり2つの例を載せて他の本と強引に差別化しているように感じたのが微妙でした。
とはいえ、アマゾンの評価も良好ですし(まだレビューは少ないですが)、同じ関先生の本なのでクオリティは確かですので、まあ最終的には好みの問題でしょう。
「TEPPAN英単語」など、関先生のTOEIC関連の本は他にも色々発売されていますから、実際に本屋さんなどで見て自分に合った1冊を見つけてみてください。
まとめ
以下のような方には「TOEIC L&R TEST 出る単特急金のセンテンス」がおすすめ。
- とにかく単語帳としてのボリュームが欲しい。
- 派生語も一気に確認しておきたい。
- 単語に関する解説はほどほどにあれば良い。
- TOEICの世界に関する予備知識をたくさん確認しておきたい。
- 高校基礎レベルの英単語はすでにある程度身についている。
- フレーズではなく文の中で単語を覚えたい。
- 訳語は幅広く載っている方がいい。
- スタンダードな単語帳が良い。
- (紙質は良い方がいい)
- (値段が安い方がいい)
以下のような方には「世界一わかりやすいTOEICテストの英単語」がおすすめ。
- 覚える量はなるべく少なくして、効率良く学びたい。
- 単語1つ1つに丁寧な解説が欲しい。
- 単語の語源やイメージを大切にしながら学びたい。
- 高校基礎レベルまでの英単語に不安がある。
- 文ではなくフレーズの中で単語を覚えたい。
- 単語のイメージがつかめる・暗記の助けになる写真やイラストがある方が良い。
- 的を絞った訳語だけ学習したい。
- 単語帳を読み物としても使いたい。
以上、有名な2つの単語帳を比較してみました。
買い物の前は異常に悩む癖があるのでこの2つの単語帳を買う前もめちゃくちゃ悩んだんですけど、個人的にはどっちも買って正解でした。
正直今は試験のためというより日常の暇つぶし程度の感覚で単語帳を見ていることがほとんどなので、その時の気分によって適当に使い分けています(試験勉強のためならちゃんと1冊ずつこなした方が良いと思います)。
語り口調でのんびり読みたい時は世界一わかりやすい、まじめに淡々と勉強したい時は金のセンテンス、と言った感じで。
とはいえ普通は試験に向けて買う人がほとんどでしょうから、後は実際に本屋さんで実物も確認してみて、あまり時間をかけ過ぎずに決めてしまうのが良いと思います!
単語学習だけが英語学習ではないですからね。
今回は英語学習についての記事でしたが、このブログでは他にも僕がプレイしたゲームのレビューやゲームコラムを中心に掲載しているので、興味がありましたら他の記事もご覧いただけるとお役に立てるかもしれません。
お読みいただきありがとうございましたm(_ _)m
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