今回はテスラグラッド2という電磁力を題材にした横スクロール2Dアクションアドベンチャーを遊ばせていただきました。
制作はRain Gamesというノルウェーにある会社で、本作の舞台もノルウェーや北欧の風景や文化・神話を色濃く反映したものになっており、本場の方が創造した世界観を体験することができました。
タイトルに「2」とあるように1と2でどうやらストーリーのつながりがあるようなのですが、本作から始めてもほとんど問題なく楽しめる内容でした。
ゲーム概要
発売日 | 2023年4月20日 |
ジャンル | 横スクロールアクション/メトロイドヴァニア |
クリア時間(目安) | 約3時間 |
開発 | Rain Games |
楽しかったところ
電磁力を駆使して謎解きやアスレチック、バトルが楽しめる
作品名に テスラ(電磁気学の分野で多くの業績を残した人物名で、磁場の強さの単位にもなっている)とあるように、本作は電磁力の能力を使って様々な仕掛けを突破したりバトルを楽しめます。
冒険の途中で1つずつ能力を獲得していきます。
自分の周囲に磁力を発生させたり磁力をまとった斧を投げつけたり、電気をまとった瞬間移動などができたり、操作はシンプルですが組み合わせると自由度の高い素早い動きができて楽しいです。
自分で投げた磁力をまとった斧を足場に使えば、反発によりジャンプでは届かない場所に行くこともできたり行動の幅が広いです。
なんとなくイラストの雰囲気から落ち着いたテンポのゲームなのかと思ってましたが、遊んでみると結構スピード感がある動きも多くて爽快感がありました。
フィールドにはあらゆる場所に青と赤の磁力が発生していて、これにプレイヤーの磁力を近づけることで様々なギミックを解いていくことができます。
プレイヤーは最初青の磁力を操ることができ、青同士では反発・青と赤では引き合う力が発生し、仕組みはシンプルながら挙動がリアルに再現されていて、距離による効果の減衰や磁石の強さが異なったりして作りが丁寧です。
またステージに隠されたミッションをクリアすると2段ジャンプなどの追加能力をいくつか得ることができるので、さらに自由に動きやすくなっていきます。
慣性が働くリアルな挙動でパズルやアスレチックが楽しめる
少し触れたように、アクションの目玉要素である磁力は距離や磁石の強さも計算されており、遠くではやんわり引かれる程度でも至近距離だと壁や天井を歩けるほど強くなります。
もちろん空中で磁力をまとってない時は普通に重力で落下していきますが、高速で落下している時は磁力があっても引き寄せきれなかったり下側に放物線を描くように引き寄せられたりするので、挙動が丁寧に計算されていて面白いです。
また急降下やスライディングで勢いをつければ斜面だけでなく繋がっている壁や天井も滑走することができ、さらに前方への勢いを活かして磁力の反発もタイミングよく使えば重力に逆らって大きく上昇することもできます。
このように磁力や重力に勢いによる慣性も加えて挙動が計算されているので、慣れてくると大胆な動きでフィールドを駆けることができて楽しいです。
美しい2Dイラストの世界観に癒やされる
僕がこのゲームを買った動機はなにかカジュアルに楽しめる2Dゲームを探していたからなんですが、作品の世界観や雰囲気に惹かれた部分も大きいです。
ストーリーはちょっとシリアスな感じですが、景色が幻想的で色使いも優しいのでとても癒やされる雰囲気です。
針葉樹林やフィヨルド・氷河などの自然の景色や、バイキング・ヘラジカ・トロールなど北欧に由来を持つものがたくさん登場するので、そのあたりの文化や世界観が好きな人には特におすすめできる作品です。
ただの2Dイラストではなく距離に応じて何重にも絵が重ねて作られていたり、部分的に3DCGで描写された箇所もあるので、移動すると奥行きや迫力を感じられるようになっていてクオリティがとても高いと思いました。
またボリュームの割にちゃんと場面ごとの雰囲気に沿ったBGMが用意されていて、ボーカル入りの音楽は特に北欧のイメージを色濃く連想させてくれて世界観に浸れました。
その他攻撃や各種動作などの効果音も重みがあって聴き心地が良いので、動かしているだけで楽しかったです。
中規模以下のタイトルだとBGMはあんまり豊富ではなかったりする作品も多い印象ですが、本作は音の面もクオリティが高くて好印象でした。
1日で気軽に遊べる作品
急がずに遊びましたが、3時間程度でエンディングを迎えることができました。
マップの形式としてはメトロイドヴァニアで探索できる箇所が豊富にありますが、クリアには必須ではなく素直に進んでいくとエンディングまで1本道のゲームに近い感覚で遊べると思います。
一方、収集物などのやりこみ要素を全部達成するにはマップの隅々まで冒険するのでもっと長時間遊ぶことができる設計になっています。
全編ロード時間は無く、フィールドも暗転無しで全体が繋がっているのでノンストップで遊べて快適でした。
フィールド全体はそこまで広くないのでファストトラベルは用意されていませんが、各所のワイヤーを電気の力で伝導することで高速でショートカットできるようになっているので、後で収集物を探索したりするのも配慮されています。
加えていつでも閲覧できる全体マップも結構詳細な地形で用意されているので、道に迷ってウロウロすることが無かったのも好印象でした。
アクションゲームなのでステージ上には電磁力を利用した様々なアスレチックや敵が配置されていますが、ミスしても直前からすぐにペナルティ無しで復活できるので快適に遊べました。リスタート地点は細かく設置されています。
要所要所でボスバトルもありますが難易度は優しい部類で、初見ではギミックを理解するまでちょっと苦戦したこともありましたが、何度か挑んでいればゲームが苦手な人でも順調に進んでいけると思います。
攻略にかかせない能力はボスバトルの後などで順に獲得していきますがレベルやスキルツリーのようなものは無く、配慮しておく要素は道中の隠された収集物くらいなので時間や頭の容量をあまり割けない人でも気軽に遊べる内容です。
また面白いことにゲーム内ではテキストの会話が一切無いので、視覚情報のみでストーリーが進行していきます。
なのであまり思考せずとも遊べる一方、意味深なムービーや背景のイラストがあったりもするのでストーリーをちゃんと理解したいなら注目しておくとより一層楽しめると思います。
他に気になったこととしては、アルファベットのような文字でおそらく日記?か何かの文章がステージのあらゆる場所に刻まれており、ちゃんと読んでおけば話をもっと詳細に理解できると思うのですが、残念ながら解読できませんでした。たくさんの場所にあるので割と大事な文章だとは思います。
坂道や崖際など些細なモーションも違いがあり丁寧
細かい点ですが、プレイヤーが坂を下る時は平地での歩行よりも若干速く勢いに耐えながら進むようなアニメーションになりますし、逆に登る時は移動が若干遅くなります。
他にも壁側に移動スティックを倒すと壁を押すような姿勢になったり、崖際では少し下を見下ろすような姿勢になったり、崖に向かってジャンプするとプレイヤーと崖の高さによってよじ登る動作と少し引っかかるだけの短い動作がそれぞれ用意されていたりします。
大規模なゲームならわざわざ言及しませんし実際どうということではないのかもしれませんが、こういう些細なモーションの作り込みって手触り感が大事なアクションゲームでは大事な要素だと僕は思っているので、好印象でした。
トロフィーコンプリートまで遊んだ感想
景色を眺めたりしながら遊びましたが、およそ10時間くらいがトロコンの目安かと思います。
主なやりこみ要素はステージの色んな場所に隠されているカード集めで、このカードは過去から現在までの物語を視覚的に説明するものになっています。
途中まで話をあまり理解できていなかったのですが、カードを全部集めた後じっくり眺めているとなんとなく全体像が掴めました。
カードは初期状態では自力で全部見つけるのは厳しいですが、ゲームを進めるとマップ上に隠し要素の場所を示すことができるようになるので、その後はスムーズに集められると思います。
他にも二段ジャンプや全方位への雷ダッシュ・赤の磁力などの追加能力を得るためのタイムアタックや、アップデートで追加された裏ボスもトロフィーになっていますが、比較的時間はかからないもののこちらは本編やカード集めに比べるとやや難しかったです。
ゲーム全体を通して覚えることは少なく、ボリューム的にも気軽に遊べる作品でとても楽しむことができました。
週末だけとかでも十分遊びきれるタイトルなので、短時間だけ遊びたい方にもおすすめです。
終わりに
気がついたらもう半年以上1人用のオフラインゲームを購入してなかったのですが(昔買ったのを遊んだりはしましたが)、色々調べた末本作を購入して良かったと思います。
横スクロールの2Dゲームをちゃんと遊んだのはブラッドステインドリチュアルオブザナイト以来1年半ぶりでしたが、3Dゲームとはまた違う楽しさがあって改めて良い体験ができました。
幻想的な雰囲気を楽しみつつ、比較的シンプルな操作で難しすぎないアスレチックやバトルが楽しめて、今求めていたものにピッタリなゲームでした。
老若男女幅広く楽しめる内容で、ゲームがあまり得意でない人や難しいゲームに疲弊気味な人、ゲームにたくさん時間を割きたくない人にもおすすめできる作品だと思います。
個人的総合評価: ★★★★★
プレイ時間: 約10時間
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