4年前にコロナ禍でのステイホームをきっかけにプレイステーションで無料配信されたソフトのうちの1つ、ABZÛをプレイしたのでレビューさせていただきます!
「ABZÛ」ってなんだか不思議なタイトルですが、公式サイトの説明によると海を意味するAB、知ることを意味するZÛ、つまり海の知恵を意味している古代の言葉とのこと。
ゲーム概要

発売日 | 2016年8月2日 |
ジャンル | アドベンチャー |
クリア時間(目安) | 約2時間 |
開発 | GIANT SQUID |
良かった所・楽しかった所
芸術的な海の世界を表現


本作は雰囲気を楽しむのが最大の魅力と言えるので、見栄えや音による表現が素人目からしてもとても表現豊かで印象的でした!
ほとんどは海の中を進んでいくゲームで、海藻のゆったりとなびく様子、魚たちが悠々と泳いでいる姿、場所によっては日光が海の中へ注がれて光の柱ができていたり、大自然を美しく感じる要素がたくさん散りばめられていて癒やされます。
フォトリアルではなく独特な透明感のあるグラフィックで構成されていて、柔らかくも美しい芸術的な印象です。
1本道のゲーム性でいくつかの広いエリアが繋がっているようなゲームデザインとなっており、それぞれのエリアが色使いや雰囲気がガラッと違うのでバラエティー豊かな色んな景色を体験できます。

一部の場面では高速の海流に身を任せて一気に海を駆け抜けるシーンもあり、目まぐるしく変化する周囲の景色がまるで遊園地のアトラクションに乗っているような迫力と刺激が楽しめました。
いたるところに意味深な人工物も存在

ただ大自然だけが存在しているわけではなく、ところどころに人工物があります。
建物だったり壺のような容器、扉やギミックを解くための装置の他、機雷のような兵器もあったりと穏やかではない一面もあり、詳しい説明はないもののメッセージ性を感じました。
大自然の美しさ・神秘的な超常現象・意味深な人工物が組み合わさって、なんとも美しくて不思議な世界観が味わえます。
多種多様の海洋生物

本作の雰囲気を楽しむうえで欠かせないのが海洋生物たち。
エンディングまで2時間前後で終わるような短いゲームですが、ボリュームから考えると非常に贅沢に多種多様な生き物たちが用意されています。
しかも種類ごとにちゃんと現実に即したような異なる動き方をするので、ただ形が違うだけじゃなく本当に生きているような生命力を感じます。
群れで動く小魚や単独で捕食を繰り返す肉食の魚、足を使って波打つように移動するイカ、地面を這うヒトデなど制作側がちゃんと海の生物達を理解してるんだろうなというのが伝わってきます。


あとテレビで見たことあるようなフィッシュボールと呼ばれる小魚のトルネードみたいな現象も起こってたりして、見どころが本当にたくさんありました。

しかも後半になると明らかに現生していない恐竜や古代生物もたくさん登場するようになっていき、異世界感が一気に増してワクワクしました。
古生物好きな人もきっと唆られるんじゃないかと思います。
想像イラストでしか見たことないアノマロカリスが捕食してるのを見るのは新鮮でしたね~。
生物たちと一緒に泳いだり、じっくり観察も

ただダイバー視点で生物を眺めるだけでなく、近くでボタンを押すことで生き物と一緒に泳ぐこともできます!
全てがそうなのか分かりませんが一緒に泳いでいる時は生き物によってはちょっとコントロールもでき、アクションボタンを押せば一緒に独自の動作をしてくれたりして手が込んだ演出が面白かったです。
クジラと一緒に海上に飛び出したり、終盤の相棒ホオジロザメとのスピード感のある共演はとても壮大でインパクトのある映像表現でした。

他には広いエリアには瞑想ができる場所が用意されており、瞑想中はそれぞれの生物を追従カメラでじっくり観察できます。
ただ優雅に泳いでたり時々捕食してたり、生き物の生態が垣間見えます。
言葉を介さない抽象的な物語

遊んでいる時はよくわからなったのですが、意味深な壁画や人工物、超常的な演出は自然と人間活動の歴史を伝えようとしているようで、自然が文明に滅ぼされた過去やその後また自然が復活しうることなど、現代でも問題とされるような普遍的な人と自然とのバランスをテーマにしたメッセージを表現しているようです。
ゲーム内で一切会話や説明などは無く、自分の目や感覚で抽象的なゲーム内の表現から自分で想像力を働かせて何かを読み取りながらプレイするゲームデザインとなっています。
その辺りよくわからなくても雰囲気だけでも癒やされるし十分面白かった作品ですが、意味深なところが分かるとより没入感がある体験になるかもしれません。
ちょっとした収集要素も

本作には秘密の貝殻や秘密のプールなどのちょっとした収集要素もあります。
集めても特にご褒美があるわけではないですが、広い海の中で気になる所を探索してみると収集物や新たな景色の発見があって楽しいかもしれません。
終わりに

まるでアーティスティックな映像作品の中に入り込んでプレイしているような、ちょっと不思議で癒やされるゲーム体験ができました。
日々の忙しさや辛さから感覚を引き離してリラックスしたい場合にもおすすめできるゲームです。
十分1日でクリアできるボリュームなので、すぐに遊びきれる作品を探している人にも向いていると思います。
個人的総合評価: 🌕️🌕️🌕️🌕️🌗
プレイ時間: 約6時間
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