発売から6周年を迎えたSwitchの人気は、今でも不変のものであると言えるほど好調です。
一方Switchと同じように大ヒットしたWiiというハードが過去にありましたが、実はライフサイクルの後半での人気が低迷してしまっていました。
しかしSwitchはというと今でも本体やプロコンが売り切れになるほど人気が続いているんです。
そこで今回はWiiとSwitch、両ハードの機器と状況の違いからなぜSwitchの人気が継続しているのかを、僕の思いついた範囲でいくつかの項目で紹介していきます。
Wii時代は地デジ化によるテレビの買い換え需要があった
個人的にWiiの時地味に痛手だったと思うのが、地デジ化によるテレビの強制的な買い替え需要があったことです。
これを機にHD画質の液晶テレビに買い替えた家庭も少なくないのではないでしょうか。
地デジ化が進んだからと言って別にWiiで遊べなくなるわけではないですが、どうしてもSD画質にしか対応していないWiiはHD画質に対応していたPS3やXbox360などと比較すると購入する時見劣りしてしまう要因になったと思います。
一方SwitchはソフトによってはフルHDまで対応しているので、まだ多くの家庭で使われているHD画質のテレビに合っています。
ガジェット好きな人はとっくに4Kや8Kのテレビに買い替えているかもしれませんが、地デジ化の時のような強制的な買い替え需要は無いので、4Kや8Kへの移行は比較的緩やかです。
HD画質でも陳腐に感じにくい
テレビの画素数の進化は今も留まることなく進んでいますが、画素数が増えたからと言って必ずしもキレイに感じるわけではありません。
正直、一般的な視聴距離なら4Kのモニターやテレビで既にドットを感じることなんてまず無いですし、その4分の1しか画素数がないフルHDでも実際そこまで陳腐な画面には感じないんですよね。
僕もつい最近までHD画質(720p)のテレビを使用していましたが、ドット感が気になることなんてほとんどありませんでした。
特にゲームのようにある程度モニターから離れて遊ぶコンテンツの場合、HD画質でも十分満足という方が割と多いのではないでしょうか。
あくまで相対的に見た話ですが、SD画質→HD画質の時よりも、HD画質→4K画質の方が変化を感じにくいんですね。
WiiのSD画質は当時の時代の流れからして陳腐化するのが早かったですが、幸いHD画質はまだお店でも売られているほどありふれているので、SwitchはWiiの時よりも陳腐化を感じにくいです。
突飛すぎない柔軟な設計のハード
Wiiの最大の特徴でもあるリモコンを画面に向けて遊ぶモーション操作ですが、これは他社のソフトメーカーからするとかなり厄介な機能だったと思います。
革新的な機能ではありましたが、それまで培ってきたゲームの制作ノウハウが通じにくいので、サードパーティのメーカーから嫌われる要因になりました。
別売りのクラシックコントローラーがあれば従来のような操作を実現することもできましたが、本体に付属しているのがWiiリモコンとヌンチャクだけだったので、ソフトメーカーからするとボタンをフルに使うゲームは発売しにくかったと思います。
また性能もライバル機種に大幅に劣っていたので、どうしてもサードパーティのソフトを発売する上での障害が多かったと思います。
一方でSwitchの場合、そのようなモーション操作を備えつつも、基本的には他のゲーム機同様の操作方法を主軸にしたものに一新したので、性能の低さを除けばサードパーティのソフト開発がずいぶんやりやすくなりました。
そのおかげか、従来の任天堂ハードでは売れるソフトは任天堂のソフトばかり、という状況になってしまっていましたが、Switchではある程度そのような状況も打開されています。
デフォルメされたグラフィックは既に十分綺麗
Switchは持ち運びできる据え置きゲーム機、という特性上どうしてもライバル機種よりも性能が見劣りします。
ただ、発売されているソフトを遊ぶと分かりますが、意外とアニメ調だったりデフォルメされているグラフィックだと陳腐には感じにくいです(主観ですが)。
Wiiの時はどうしても一昔前の印象が残るビジュアルのソフトも多かったので、ライフサイクルの後半に失速する原因になってしまいました。
特に、高性能志向の強い海外ではやはりHDゲーム機の方に興味が移っていったようです。
しかしSwitchはというと、先程も述べたように映像的に陳腐に感じる領域を既にある程度脱しているように思います。
デフォルメ調の作品ならば結構上手に表現できている作品も多いと思います(もちろん、パフォーマンスの問題が指摘されているソフトも多いのは承知しています)。
また映像の美しさの話だけでなく、ゲームシステムに関してもWiiの時ほど性能的な制約を感じさせません。
多人数でインクを塗り合うゲームとか、広大なオープンワールドを冒険できるゲームとか、完璧とまでは言いませんが、ある程度は開発者の実現したいことを叶えられるレベルにはなったんじゃないかと思います。
圧倒的なソフトラインナップ
Switchでは本家の任天堂から発売されるソフトの魅力が非常に大きいです。
もちろんWiiの時もタイトル数だけで言えば負けないくらい発売されていましたが、Switchに比べると小粒で話題性に欠ける印象のソフトも多く、クオリティを比較するとSwitchの方が磨きがかかっている印象です。
理由としては、携帯ゲーム機と据え置きゲーム機の開発リソースを統合していることが大きいと思います。
今まではマリオやゼルダといった中心的なタイトルはDS・Wiiなど両方の機種でタイトルを発売する必要がありましたが、ゲームハードがハイブリッドになったことで一つの機種に専念することができるようになりました。
おかげでソフト一本一本のクオリティに磨きがかかり、ボリュームも比較的多くなっている印象です。
インディーゲームが台頭
Wiiの時と少し違うのは、インディーゲームが盛んに発売されるようになったことがあると思います。
当時よりも少人数でゲームを作ることが容易になっていることもあり、昨今は本当に様々なソフトが発売されています。
玉石混交ではありますが、中には大ヒットして話題になるソフトも数多くあります。
そんなインディーゲームの特徴として、多くは高い処理性能を必要としないというものがあります。
やはり小規模な開発環境で作成されるソフトはAAAタイトルと違いデータ量もそこまで大きくはないですから、比較的性能の低いSwitchでも問題なく動作するものが多いです。
なので、ハードの構造が突飛すぎないということも合わさって、Wiiの時のようなライフサイクル後半のソフト不足に陥ることはなさそうな印象です。
まとめ
まとめると、Switchが発売から時間が経った今でも人気な理由は以下のことが挙げられると思います。
- Wiiの時と違い地デジ化によるテレビの買い換え需要が無い。
- HD画質は人によってはそこまで陳腐に感じない。
- 突飛過ぎずサードパーティにも優しい柔軟な設計のハード。
- デフォルメされた描画は既に十分キレイ。
- ハイブリッド設計により、開発リソースをまとめたのでソフトが非常に豊富。
- そこまで性能を必要としないインディーズゲームも人気になった。
今回は僕が思いつく範囲で、WiiとSwitchの両者の違いから要因を挙げてみました。
発売から6年を超えているので、電子機器としてみると後期高齢者になったSwitchですが、性能がゲームにおいて必ずしも重要ではないことを証明してくれていますね。
もちろんPSやXboxみたいな性能重視のハードにもロマンがありますが、企業としての純粋な利潤追求を考えると任天堂の経営方針は上手ですよね。
まあ子供の頃だったらゲームハードを何個も買ってもらえなかったので任天堂の性能軽視の路線には歯痒い思いもありましたが、大人になった今ではそこまで気にしなくなりました。
いずれ発売する新しい任天堂ハードやPSハードへの個人的な予想や願望は以下の記事にまとめてあるので、興味がありましたら是非合わせてご覧ください。
このブログでは他にも僕がプレイしたゲームのレビューやゲームコラムを中心に掲載しているので、興味がありましたら他の記事もご覧いただけるとお役に立てるかもしれません。
お読みいただきありがとうございましたm(_ _)m
コメント
任天堂がハードの性能を抑えているのは制作費を軽減する為らしいです。
制作者としては安く作れるのに越したことはないわけですが、現代のゲームは一本作るのに何百億もの予算がかかってしまう事もあります。
元ソニーの会長は、現在の開発コスト状況ではゲーム業界がAAAタイトルの制作を続けることが不可能になる、とまで断言してる程です。
ソフトの値段は倍に出来ないのに、制作費は倍以上に跳ね上がっているからですね。
そして制作費が上がれば冒険的なタイトルも作りづらくなり、マンネリ化が進んでしまい人が離れてしまうと。近頃インディーゲーが大ヒットしているのも、既存のゲームに飽きた人が多いからだそうです。
また、実はグラゲーと呼ばれるジャンルは一部の男性しか遊んでいないので、女性層を取り込めている任天堂のゲームほど売れておらず、資金の回収にかなり苦労しているようです。
それが明らかにswitch向けじゃないゲー厶(クライシスやウィッチャー、アサクリシリーズなど)をswitchで販売している企業が多い理由だとか。
なのでこれからの時代は制作費を抑える努力をしていないPS6やxboxのような性能重視のハードはかなり厳しくなる事は間違いないです。
反対に任天堂のハードは性能よりアイデア重視で、携帯モードという独自の大きな強みもあるので数十年は安泰だと思います。
田中さん
コメントしていただきありがとうございます!
なぜかいただいたコメントが自動的にスパムコメント扱いされていたようで、コメントに気付くのが遅れてしまいました、申し訳ございません。
当ブログで初めてコメントをいただいたので非常に嬉しいです!
そういえば僕は以前以下の記事で、AAAタイトルの開発費について言及していたのを思い出しました(別のブログです)。
https://shirosgamereview2021.hatenablog.com/entry/switch-jisedaiki-itsu
やはりAAAゲームは制作費が莫大になりすぎているんですね。
任天堂が制作費を抑えるために性能をあえて抑えているというのは初耳でした。
Switchで例に出されているようなゲームを発売するのは、客層の違う方に向けて販売するという意図があったんですね、そこまで考えたことがありませんでした。
PSやXboxが将来どういう対策をとってくるのかは見ものですね。
任天堂の柔軟なアイデア勝負の経営方針は本当に上手ですよね、これからの新しいアイデアにワクワクします!
貴重な知識・意見を聞かせていただきありがとうございます!