【COCOON レビュー】幾重にもフィールドが内包される緻密なパズルアドベンチャー!

ゲームレビュー
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今回レビューするCOCOONというゲームは僕が昔遊んだLIMBOというモノクロの2Dゲームと同じゲームデザイナーの方の作品で、世界観の重みやちょっと不気味だけど幻想的な表現に共通点を感じました。

冒険のフィールドとなる空間そのものを持ち運んでその中に出たり入ったりできるというとても奇抜なゲームシステムが、タイトルにも反映されているようにこのゲームの中核を成すギミックとなっています。

ゲーム概要

発売日2023年9月29日
ジャンルパズルアドベンチャー
クリア時間(目安)約7時間
開発Geometric Interactive

良かった・楽しかった所

空間そのものが内包される斬新なシステム

本作でプレイヤーが謎解きをしたり冒険することになるフィールドは、その空間の外へ飛び出ることで不思議な球体の姿で持ち歩くことができるようになります。

プレイヤーが持てるのは1つの球体のみですが、球体の中の空間に別の球体を置いておけばそれも同時に移動させることになり、奥深い謎解きのシステムとして上手く機能しています。

これが遊びの中核となるシステムで、持ち運ぶことでそれぞれの球体に用意された特殊能力を使って道を開いたり、異なる場面に空間ごとギミックを移動させたりして冒険を進めていきます

赤い球体は隠された足場を作り出す能力があります

見下ろし型の視点で描かれるそれぞれの空間には雰囲気やギミックが異なるフィールドが広がっており、空間を何度も行き来することで謎解きできるよう様々なギミックが用意されてます。

冒険を進めると球体の数が増えていき、今いる空間や球体をどこに設置したかなど把握することも増えてきて良い意味で頭をちゃんと使わされました。

コンパクトでも密度の高い謎解き

入れ子構造のシステムは慣れるまでやや戸惑いましたが、謎解き自体は比較的狭い面積でコンパクトに完結するものが多いです。

コンパクトながらスペースに無駄がなく手順はそれなりに複雑だったりして、よくこの限られたマップだけでこんなに何段階も頭を使うギミックを用意できるなとプレイしながら感心していました。

最初来た時は何に使うのか分からない意味深な箇所も後から重要なギミックになっていたりして、何度も行き来するよう設計されている場面も多くフィールド設計に蛇足が無くて好印象でした。

白い球体から撃てる光弾は空間を超えて干渉します

一方でずっと立ち止まってしまうほどの難易度の場面は無く、操作がシンプルでやれることも限られているため、集中して遊んでいれば結構サクサクと進められると思います。

ギミックの謎解きの際に重要な正解の手順を踏むと一瞬BGMが盛り上がるようになっていて、今の操作が正しいことをさり気なく教えてくれるのも親切設計でした。

フィールドのギミックと球体毎の能力が絶妙に組み合わさった1つの解法を見つけるのが、上手く行った時心地良いです。

空間が何重にも内包される複雑な関係性は昔高校数学で触れた集合論をちょっと思い出したりもして、集合の中に集合が含まれ、それぞれの境界のあいまいさや部分的な集まりを扱ってギミックを解いていく感覚は、集合の内包関係を感覚的に楽しめるゲームとも言えるかもしれません。

言葉や文字では語らないゲームデザイン

本作には操作の説明や物語の解説、会話など、文字や言葉が一切登場しません。

全ては見た目や雰囲気から感じ取るゲームデザインとなっています。

出来事は抽象的で、一体何と戦っているのか、どんな世界観なのか理解するのは難しかったですが、なにやら壮大な次元での冒険なのは間違いありませんでした。

主人公の虫のような生物

そもそも操作してる昆虫のようなキャラは一体何なのかすらよく分からなかったのですが、何も語られないことで一層神秘的で壮大な物語であることを演出してるようにも感じられました。

簡単操作でも多彩なアクション

ギミックの複雑さに反して操作は非常にシンプルで、使うボタンは移動スティックと◯ボタンの2つのみ。

球体を持つ・置く・使う、球体の中に入る・出る、地面に設置されたボタンを押す、特定のものを引っ張る、などあらゆる動作が1つのボタンで完結できるようになっているのでとてもわかりやすい。

そしてバトルが発生するボス戦においても、戦闘毎にプレイヤーの動きや攻略法は全く違いますが使うボタンはやはり移動と◯のみ。

ずっと2つのボタンだけでこれだけ多彩なアクションができるミニマルさは、分かりやすくて個人的に好きな設計です。

個性の尖る様々な球体の世界

冒険の舞台となる球体の中はそれぞれデザインや個性が一貫しており、登場するギミックもその世界ならではのものとなってます。

見た目もBGMもSFチックなテイストで、美しくもちょっと不気味なフィールドは冒険心が唆られます🌌

出入りするために球体を使うのか、固有アクションのために持ち運ぶのか、試行錯誤しながら色々な異空間を股にかけて冒険するのはなかなか他のゲームでは味わえない体験でした。

終わりに

このロード時間に見られる謎の文字列はなんなのだろう?

こういった短時間で気楽に最後まで遊べるゲームは、大作に比べて手軽に満足感を得られるのが良いですね。

フィールドそのものが持ち運びできるアイテムにもなるという斬新なシステムに加え、全体を通して謎解きや映像描写のクオリティも秀逸で、インディーゲームとしてお手本のような完成度の高さでした。

個人的総合評価: 🌕️🌕️🌕️🌖🌑

プレイ時間: 約8時間

お読みいただきありがとうございました🌟

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